スポンサーサイト

(--------)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


月姫小説

(2008-04-20)
2008042023070000.jpg
続きです。




朝の通学途中、遠野志貴はシエル先輩を発見した。
「先輩」
「あ…遠野くん」
いつもは明るく返事をするシエルだったが、今日は何処か影があるように見える。
「どうしたんですか? 元気ないですよ?」
そう言って志貴はシエルの肩を叩く。

ポン!

ポテ。

シエルはそのまま卒倒してしまった。
「先輩、大丈夫ですか!! 貧血ですか!?」
シエルを抱きかかえる志貴。
「遠野くん、私…私……」
志貴の耳元でシエルが囁く。
「な、なんですか。先輩」
「私…あなたに会えてよかったです。ガクッ」
「先輩~~~~!!…って」
ポリポリと頭を掻く志貴。
「仮にもこないだまで不死身だったヒトがそんな簡単に死ぬわけないでしょ。っていうか、そもそも口で“ガクッ”とか言ってたし。ホラ、起きて下さい」
「う~。遠野くん、冷たいです。私、動けませんので、お姫様抱っこで連れていって下さい」
「くだらないこと言ってないで。いいかげんにしないと遅刻しちゃいます」
志貴は殺人者が死体を移動させるように、ズルズルとシエルを引きずりながら校門へと向かった。



【世界中のカレーを集めても君の微笑みにはかなわないⅡ 】



「でも、本当にどうしたんですか? いつもの先輩らしくもないですよ」
なんとかシエルを起たせたあと、肩を貸して歩く志貴。
「いや。もうボロボロなんですよ。私」
「お嫁にいけないぐらい?」
「はい。遠野くんが毎晩、毎晩、前から後ろから激しく私を…」
「わー! わー!」
「……先にボケたのは遠野くんですからね」
「ごめんなさい。真面目に聞きます」
シエルはコホンとセキ払いをしてから話はじめる。
「……そうですね。体よりは心のほうがボロボロなのかもしれません。このままでは、肉体が朽ちるよりも精神崩壊するほうが先でしょう」
「先輩、いったい何が…」
志貴がゴクリとノドを鳴らした。
「私、もう“カレー断ち”してから一週間も経つんですよ!!」

キンコーンカンコーン。

「あ。チャイムだ。それじゃ、先輩また後で」
志貴は何事もなかったかのように歩きはじめる。
「授業と私とどっちが大事なんですか!?」
志貴の腕をハシッと掴むシエル。
「…っていうか、まだ一週間じゃないですか。一ヶ月なんてまだまだ先ですよ」
「フフフ。解っていませんね。はじめてから一週間目ぐらいが一番ツラいんです」
眼鏡をクイクイと上げながら学者のように答えるシエル。
「そんなに勝ち誇ったような顔をされても」
「そういうわけなので、早急に私を助けてください」
「いや、だからそんなこと言われても…そうだ、いっそギブアップしちゃうのはどうですか?」
「そ、そんなことしたら、あのアーパー吸血鬼になんて言われるかわかりません!!」
「じゃー、ハヤシライス食べて我慢するとか」
「そんな妥協は私のプライドが許しません。というか、そもそもカレーが許してはくれないでしょう」
「カレーの映像を見ながら、白いご飯だけを食べるとか」
「真面目に考えて下さい」
「……」
「……」
「あ、カレー食べてるインド人だ!」
突然シエルの後ろを指差す志貴。
「え? 何処ですか!?」
素早く振り向くシエル。
「いないじゃないですか…って逃げてるし!」
シエルがもう1度振り返ると、志貴は全力疾走で学校に向かっていた。
「それじゃ~先輩~、また、後で~~」
「待って、待って下さ~い!!」
シエルはその場に崩れ落ちた。


昼休みの教室。
「んで、シエル先輩を置いてきちゃったわけか」
志貴はクラスメートの乾有彦と話していた。
「まーね。俺まで遅刻するわけにはいかないし」
「うむ。お前にしては懸命な判断だ。…では、俺はそんな先輩を介抱して“2人の恋は始まっちゃった作戦”を開始するんでヨロシク」
わけのわからないことを言う有彦。
「浅はかな行動はやめろって。それより早く学食に行こう」

「と~お~の~く~ん」
「うわ! 先輩!!」
テーブルについて、いざラーメンを食べようというときシエルに声をかけられた。
「よくも私を見捨てましたね! あれから私がどれだけ苦労して教室まで行ったと思ったんですか!?」
「い、いや。それは」
口篭もる志貴。
そこにカレーうどんを啜っていた有彦が割って入る。
「あ~。それは嘆かわしい~。薄情な男もいたもんだ~。…それはそれとて、シエル先輩、あなたの心の友にして、そろそろあなたのハートハンターにジョブチェンジしちゃうんじゃないか的な存在、乾有彦をお忘れなく」
「あ、どうも有彦くん。……って」
「え?」
「私の前で何を食べてるんですかー!!!」
そう言って泣きながらテーブルを思いっきりひっくり返すシエル。
志貴は女性がちゃぶ台返し(ちゃぶ台じゃないけど)をするところをはじめてみた。
「あっちー!」
有彦の全身にカレーうどんがかかった。
「あ、有彦! 大丈夫か!?」
急いで有彦にティッシュを渡す志貴。
「と…遠野くん」
「え? 何ですか、先輩」
志貴はシエルに呼ばれて振り返る。
有彦はまだ飛び跳ねていた
「私、とうとうカレー人間の幻影が見えるようになってしまいました」
シエルはゆっくりとカレーまみれの有彦を指差した。
『アンタが原因だッ!!』
志貴とカレー人間、もとい有彦、2人の声がハモった。


そして放課後。
志貴はシエルを引きずりながら帰宅していた。
「ホラ、きちんと歩いてくださいよ」
「うー」
シエルは呻き声をあげている。
「志貴様―」
「翡翠。こんなところで何してんの?」
突然、後ろから翡翠に声をかけられた。
「姉さんに頼まれて買い物へいくところです」
「珍しいね」
「そう…かもしれないですね」
翡翠は、はにかむように微笑んだ。
「んで、何買いに行くの?」
「香辛料など……カレーの材料です」
「カレー!?」
志貴は驚いた。
琥珀さんは、ちゃんとした料理じゃないという理由でカレーを否定していたはずだ。
「秋葉様の許可を頂いたのでみなさんを呼んでカレーパーティを開…」
「翡翠?」
気がつくとシエルが両手で翡翠の頬をムニーッと引っ張っていた。
もちろん(表面上は)動じない翡翠。
「何やってるんですか!? シエル先輩!」
「だって、このヒトが呪われた単語をー 単語をー」 パチンッ。プルプル。
無理矢理シエルの手を翡翠の頬から離す志貴。
「カレーパーティを開くそうです」
翡翠は何事もなかったように続けた。
「琥珀さんが考えたの?」
「いえ、志貴さん自身が前に提案したことです」
「そういえば、確かにみんなでカレーを食べたらキャンプみたいで楽しいだろうとは言った覚えもあるが、このタイミングでカレーとは……」
「そういうことで、乾様など、志貴様の友人には招待状を出しておきます。…その、もちろんシエル様にも」
上目遣いにシエルを見る翡翠。
元々、人見知りする性格のため恥かしいのだろう。
もしくは、いきなり頬をつねられたから警戒しているのかもしれない。
「……そ、そうですか」
名前を呼ばれたシエルが生返事をする
「カレーお嫌いでしたか?」
「大好きです」
そこだけは、きっぱり断定。
「では、招待状は送らせて頂きます。それでは志貴様、そろそろ私は失礼させていただきます」
「あ、ああ…」
翡翠はテクテクと歩いていてしまった。
頬をさすりながら。

「どうするんですかー!! 遠野くん!!!」
いきなりシエルが叫びだした。
「…どうするって言われても…キャンセルしたらどうですか?」
「そんな! 私だけ仲間はずれですか!?」
「いや、だってシエル先輩はカレー断ちしてるわけだし」
「こうなったら、例えカレーを食べられなくても参加します! 意地でも参加します!!」
「そ、それは…。今日だって有彦のカレーぶちまけてたし」
「では、遠野くん、パーティで会いましょう!!」
そう言うと、シエルは走り去っていってしまった。


志貴は思った。
何だ、シエル先輩、充分走れるんじゃないか、と―――。


続く





“続く”って書いてあるけど、当時の僕はこの続きを書かなかったみたいです。
だからこの物語はここでおしまいなのです。

tag : 月姫 TYPE-MOON



コメントの投稿

非公開コメント

リンク
最近のコメント
ブログ内検索
Twitter
QRコード
QRコード
最新トラックバック
RSSリンクの表示
応援スペース


ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生

『STARLESS』2011年5月27日に発売予定!



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。